高野本・平家物語・東京大学国語研究室蔵・12冊/古市貞次/覚一本は平家物語の研究で最も重要なテキストであるとされ本書はその写本の影印 ストア

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高野本・平家物語・東京大学国語研究室蔵・12冊/古市貞次/覚一本は平家物語の研究で最も重要なテキストであるとされ本書はその写本の影印

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高野本・平家物語・東京大学国語研究室蔵・12冊/古市貞次/覚一本は平家物語の研究で最も重要なテキストであるとされ本書はその写本の影印

高野本平家物語・東京大学国語研究室蔵、12冊でまとめてみました。(解説1冊付) 昭和48年- ゆうメール・レターパック規格外 資料用にもいかがでしょうか。

解説

「平家物語」は、中世の前期に成立し、以後長く語られ、読まれて来た国民文学である。しかしその成立について は必ずしも明らかでなく、作者についても、一往、信濃前司行長が作って生仏という盲目法師が語ったという「徒然 革」二三六段の説が有力視されているが、中世の他の文献には、別の人々を挙げており、なお確定するに至っていな い。「平家物文録」に、「誰々の作った平家は」というような文句が見られるが、作者が複数であることは、当然「平 家物語」にも違ったいくつかの本文があったことを意味しているのであって、事実、本文の系統を異にする非常に多 くの異本が現在残っている。軍記物語は原作の上に、さまざまな改変・削除・増補が加えられ、成長して行った文学 であるといわれるが、その代表作である「平家物語」には、そういうことが最も著るしかったのである。

「平家物語」の書誌的研究を試みたものとしては、江戸時代に、水戸の今井弘済、内藤貞顕らの手に成った「参考 源平盛衰記」があったが、明治末年に至って、山田孝雄氏の「平家物語考」(明治四十四年) があり、昭和十八年には 高橋貞一氏著「平家物語諸本の研究」が出ている。こういう諸本に関する研究は、昭和三十年ごろからすこぶる盛ん になって、渥美かをる氏の「平家物語の基礎的研究」(昭和三十七年)や富倉徳次郎氏の「平家物語研究」(昭和三十九 年)山下宏明氏の「平家物語研究序説」(昭和四十七年)をはじめ、多くの研究が発表されている。

それらの研究によって、古態を有する諸本たとえば屋代本・四郎合戦状本・延慶本等についての特色・意義が明らかにされて来ているけれども、系統や諸本の先後については説の分れている所があって、いずれとも決め難い点も少 なくない。ただいわゆる語り系諸本については、南北朝期に一時期を画すること、その中心に覚一が口筆を以て書写 せしめたという覚一本があることは、諸家がおおむね認めるところである。覚一本についての研究は山田孝雄・高橋 貞一・混美かをる・山下宏明の諸氏の前掲書をはじめ日本古典文学大系「平家物語」の解説や笠栄治氏の論考(「平家 物語覚一本の再検討」語文研究、昭和三十六年十月)等に詳しいのでそれらを参照願いたいが、山下氏によると、覚一本は 現在十四本伝存し、これを四類に分つことができるとし、その第一類本に、竜谷大学本・高良神社本・寂光院本及び 高野本をあげている。そして上の三本は「祇王」「小宰相」の二章が無いのに対して、高野本のみが二章を有し、「小宰相」については、他本を以て書き入れた旨を断ってあり、四本の中では最も後れて成ったものとしている。けれど も、この二章は、「平家物語」の中で切りすて難いものをもっており、岩波文庫及び山田孝雄氏「平家物語」(昭和八年、宝文館)では、この高野本を底本として用いている。

諸家がすでに指摘しているように種々の点で注目すべき一伝本である。本書ははやくから世に知られているが、本 文には後述のように種々の書き入れがあり、正確な活字翻刻もまだ行なわれていないので、ここに影印本として刊行することにした。

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